2011年7月7日木曜日

破綻しながらもナゼしがみつくのだろう?

日経ビジネス 「記者の眼」から
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20110705/221302/?P=2
「核燃料サイクルは破綻している」
今こそ再処理を考え直す時

 再処理工場がいつまでも動かない結果、日本中の原発に溜まっている使用済み核燃料は、貯蔵設備の限界に近づきつつある。福島第1原発の事故では冷却プールで保管していた使用済み核燃料棒も損傷し、放射性物質が飛散したとみられている。原子炉の中で核反応を起こしている核燃料に比べればはるかに安全と思われていた使用済み核燃料でさえ、「これほどの危険性を秘めているとは、正直なところ知らなかった」(経済産業省幹部)という声も上がった。

 福島第1原発事故の収束と巨額の損害賠償という難題に直面する今となっては、核燃料サイクルは、もはや国にも電力業界にも背負いきれない重荷になってしまったのではないか。
《中略》
 生前、中川氏に聞いたことがある。プルトニウムを含む核廃棄物を再処理する工場を日本国内に置く意義がある、と。ある経産官僚も「中川氏は、いわゆる『潜在的核保有論』による抑止力を意識していた」と述懐する。日本が核燃料サイクルを続けていれば、いつでも核兵器を作れる、という潜在能力を暗示することになる、ということだ。中曽根康弘元首相から連綿と連なる自民党の保守勢力には、どうしても核燃料サイクルを推進したいという政治的思惑があったのだ。
《中略》
 原子力環境整備促進・資金管理センターに積み立てられた3兆円を超える埋蔵金は、法律により、再処理と最終処分に使うものと定められている。最終処分の積立金はどのみち必要になるとしても、もし再処理を諦めれば、2兆4416億円を福島県の被災者の賠償に充てる道が開けるかもしれない。

 いずれにせよ、19兆円とか、43兆円とか、途方もない金額を投入すべき事業なのかどうか。いま一度考え直すべき時機が来たことは間違いない。

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